2024年8月、ビールで慰められた日。──71万円を溶かした話

2024年8月5日、私は71万円を失った。

その日は大学の軽音サークルのライブイベント当日だった。控え室では仲間たちがチューニングをしたり、ふざけ合ったりしていた。その輪の中で、ひとりだけスマホを握りしめて固まっていたのが私だ。

画面には、コインチェックのビットコイン価格がリアルタイムで流れていた。毎秒、1万円ずつ、消えていた。

📌 この記事で正直に話すこと
✅ 2024年8月5日・暴落当日の全記録
✅ 71万円を失うまでの判断と感情
✅ そこから学んだ「投資で絶対にやってはいけないこと」
目次

あの日の朝、日本の株式市場で何が起きていたか

2024年8月5日。日経平均株価が史上最大の下落幅を記録した日だ。終値での下落幅は約4,400円。リーマンショックを超える、日本の株式市場史上最大の暴落だった。

その余波はすぐに仮想通貨市場にも波及した。ビットコインは数時間で数百万円単位で値を崩した。原因はアメリカの雇用統計の悪化と、日銀の利上げによる円高進行。機関投資家がリスク資産を一斉に手放し始め、市場はパニックに陥っていた。

そんな歴史的な一日に、私はライブの控え室にいた。

控え室のスマホの中で、資産が燃えていた

昼頃だったと思う。仲間たちはそれぞれ準備をしていた。笑い声があちこちから聞こえた。誰かがギターを鳴らしていた。

私はその輪に入れなかった。入る気になれなかった、が正確かもしれない。

コインチェックのアプリを開くたびに、数字が変わっていた。見るたびに減っていた。毎秒1万円。毎秒1万円。毎秒1万円。

当時の総資産は約550万円だった。その中に、仮想通貨と米国株が含まれていた。それが、目の前でリアルタイムに溶けていくのを見ていた。

正直に言う。怖かった。

これまでの人生で、こんな規模の暴落を経験したことがなかった。数字として「相場は上がったり下がったりする」と知っていた。頭では理解していた。でも、リアルタイムで資産が消えていくのを「目で見る」のは、まったく別の話だった。

「売った」——気づいたら、終わっていた

売る操作をした記憶が、正確にはない。

「本当に売りますか?」という確認画面が出るはずだ。でも、それをタップした感覚がほとんどない。気づいたら、売却完了の通知が来ていた。

仮想通貨と、含み損になっていた米国株。下がり続けているところで、両方売った。

売った瞬間、安心した。それだけは覚えている。「これ以上減らない」という安堵感が、まず来た。損失の大きさより先に、安心が来た。人間の感情とはそういうものだと、後から思った。

ライブ中も、頭の片隅にあった

ライブをやった。当然ながら、ステージに立った。演奏した。

でも正直に言う。頭の片隅には、ずっとあった。「あの数字」が。演奏しながら、「さっきいくらだったか」が頭をよぎった。音楽に集中したかった。できなかった。お金の問題はそういう形で人の頭に侵入してくる。お金の不安は、好きなことをしていても消えない。

イベント後、友達にビールを奢ってもらった

イベントが終わって、仲間と飲みに行った。そこで、正直に話した。「今日、結構やられた」と。

友達のリアクションは「え、マジで」という感じだった。引かれたわけじゃない。ただ、投資をしていない人間にとって、仮想通貨の暴落という話はどこか遠い世界の出来事として受け取られる。「大変だったね」という温度感で、ビールを奢ってくれた。

可哀想、という空気だった。慰めてくれていた。ありがたかった。でも同時に、「この話ができる人間が自分の周りにいない」ということも、改めて感じた瞬間だった。

そして、「最悪の二手目」を打った

問題は、売った後だ。

相場は翌日から急反発した。売って安心していたのに、画面を開くたびに価格が戻っていく。「あのまま持っていれば」という言葉が頭の中でループした。

買い戻したかった。でも怖かった。「また下がったら」という恐怖が残っていた。狼狽売りをした直後の人間の心理として、「もう一度下落するんじゃないか」という疑念が拭えなかった。

数日間、指をくわえて反発する相場を眺めていた。

そして数日後、「もう底を打った」と判断して買い戻した。結果として、売った価格より高い水準で買い直した。これが致命的だった。安値で売って、高値で買い直す。投資の教科書に載っている「やってはいけないこと」を、完璧にやってしまった。これが71万円の正体だ。

損失の内訳

売った時点の損失:一定額の含み損を確定
買い戻した価格との差:反発後の高値で再取得
合計確定損失:約71万円

当時の家賃換算で約14ヶ月分。大学生の感覚では、想像するだけで眩暈がする金額だった。

この経験から変えたこと、変わったこと

①「トレードをしない」という原則を作った

あの日以来、基本的にトレード(短期売買)はしていない。売買の判断をするたびに「感情」が介入する。感情が入る瞬間に、人は必ず間違える。私はそれを71万円で学んだ。

今の戦略は「保有数を増やし続けること」だけだ。価格が下がったときこそ買い増す。価格が上がっても基本的に売らない。シンプルに見えるが、これが一番難しくて、一番正しい。

②「見ない」という選択肢を持った

毎秒1万円ずつ減っていくのをリアルタイムで「見ていた」から、売ってしまった。見なければよかった。少なくとも、ライブ当日という精神的に判断が鈍る場面で、投資アプリを開くべきではなかった。

今は「値動きを見る頻度を意図的に下げる」ようにしている。毎秒見れば毎秒感情が動く。週1回しか見なければ、週1回しか感情が動かない。

③「自分の判断基準」を文字に書いた

「なぜこの資産を持っているのか」「どういう状況になったら売るのか」を、事前に文章で書いておくようにした。感情が高ぶった瞬間に判断してはいけない。冷静なときに決めたルールに従うだけにする。あの日の私に足りなかったのは、これだった。

最後に、あの日の自分に言いたいこと

「投資は焦ってやるな」

それだけだ。それだけのことが、あの瞬間できなかった。

毎秒1万円ずつ減っていく画面を見て、冷静でいられる人間なんてそんなにいない。だから自分を責め続けることはしなかった。ただ、71万円という授業料を払って、私は「感情で投資をしてはいけない」ということを体で覚えた。

ライブの控え室で、ひとりスマホを握りしめていたあの自分に言えるとしたら、「アプリを閉じろ」の一言だけだ。

投資は、感情が介入した瞬間に負けが始まる。暴落は必ず来る。大事なのは「来たときに何もしないでいられるか」だ。

71万円は痛かった。でも今、その経験があるから「下がっても売らない」という判断を自信を持ってできる。あの日のビールの味は、少し苦かった。

📝 この記事のまとめ
✅ 2024年8月5日・日経史上最大暴落の日に71万円を失った
✅ 「毎秒1万円ずつ減る」画面を見て反射的に売ってしまった
✅ 売った後に大反発→高値で買い直しが致命的だった
✅ 今は「トレードしない・見ない・ルールを先に決める」の3原則で投資している
✅ 暴落は感情ではなくルールで乗り越える

よいしょ先生より

この記事を読んでいるあなたが、同じ失敗をしなくていいように書きました。投資で大事なのは「賢くあること」より「感情的にならないこと」です。71万円分、先に学んでおいてください💪

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この記事を書いた人

よいしょ!! 23歳、会社員。簿記2級、FP2級、ビジネス会計検定2級保有。
高校時代の政治経済の授業をきっかけに投資を始め、22歳で総資産1,000万円を達成。株式・仮想通貨・金など複数アセットに分散投資しながら、資産を着実に拡大中。

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