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「税理士や公認会計士の仕事も、この先AIに置き換えられていくんじゃないか」。そう感じたことがある人は少なくないと思います。決算書の数字をAIに読み込ませれば、それらしい分析くらいはすぐに出てくる時代だからです。
結論から言うと、答えは「なくなる」か「なくならない」かの二択ではありません。AI代替シリーズもこれで3回目、今回は厚生労働省の職業データベースを使って税理士と公認会計士のAI代替度を集計しました。結果は税理士が449職業中32位、公認会計士が39位。これまで見てきたWebデザイナー(23位)・薬剤師(55位)と並べるとちょうど中間くらいの位置ですが、中身を見るとこれまでとは違う形をしていました。今日はその内訳を具体的に見ていきます。
⏱ 先に結論
- 税理士は449職業中32位、公認会計士は39位。どちらもAI代替度90超の上位
- 両方とも「判断型」。情報数理も高いですが、それ以上に判断責任が96・97と突出しています
- 不安なだけなら、まず自分の市場価値を無料で確かめる。申し込みが前提ではない
※出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト)/職業情報データベース ver.6.01.01。確率ではなく449職業内の相対順位です。
本記事の数字は、職業情報データベース(job tag)の自己申告調査を集計したものです。1職業あたり約20〜69人の回答が元になっており、客観的な精密測定ではありません。そのため「◯%の確率でなくなる」という言い方はできず、本記事では449職業内での相対的な順位だけを扱います。特定の職業がなくなると断定するものでもありません。
税理士・公認会計士は449職業中32位・39位。この数字が測っているもの
結論から言うと、税理士のAI代替度は449職業中32位、公認会計士は39位でした。これまで見てきたWebデザイナー(23位)・薬剤師(55位)のちょうど中間くらいの位置になります。数字だけ見ると意外と上位だと感じる人も多いはずです。
この数字の元になっているのは、厚生労働省が運営する職業情報データベース(job tag ver.6.01.01)です。仕事の内容・仕事の状況・スキル・知識にまたがる149項目を、その職業に就いている人が自己申告した回答から算出しています。定型反復・情報数理・対人交渉・身体技能・判断責任という5つの軸に落とし込む方法は、これまでの記事と同じです。同じものさしで測っているからこそ、職業をまたいだ比較に意味があります。
税理士・公認会計士で特徴的なのは、どちらも「判断型」というタイプに分類されたことです。Webデザイナーの情報処理型、薬剤師のルーティン型に続く3つ目の形で、判断・責任が最も高い軸になっています。次の章から、その中身を具体的に見ていきます。
ちなみに自分の職業のAI代替度が気になった方は、AI仕事診断で今すぐ確認できます。10問だけ答えると、職業の平均ではなく自分自身の順位も出ます。
5軸で見る「渡せる部分」と「残る部分」
結論から言うと、税理士・公認会計士は「情報・数理」も高いですが、それ以上に「判断・責任」が突出している、という共通点があります。
| 軸 | 税理士 | 公認会計士 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 🔁 定型反復 | 67 | 53 | 税理士の方がやや高い。記帳や仕訳の反復作業が多いことを示す |
| 📊 情報・数理 | 92 | 94 | どちらも449職業の中でトップクラス。数字とルールを扱う仕事の中心 |
| 🤝 対人・交渉 | 45 | 76 | 差が大きい。公認会計士は監査先との折衝が多いと出ている |
| 🔧 身体・技能 | 4 | 0 | 449職業の中でも最下位クラス。体を使う工程はほぼない |
| ⚖️ 判断・責任 | 96 | 97 | 449職業の中でもトップクラス。決めて背負う場面が非常に多い |
※各軸は149項目をz化・合成し、449職業内でパーセンタイル化した値です(0〜100)。
注目してほしいのは、情報・数理と判断・責任がどちらも90点台という点です。Webデザイナーや薬剤師のように、片方だけが突出する形ではありません。数字を扱う力と、その数字をもとに決めて背負う力の両方が、449職業の中でもトップクラスに要求される仕事だとわかります。次の章から、この2つの軸を中心に見ていきます。
情報・数理92/94が示す「AIに渡せる部分」の中身
結論から言うと、情報・数理92〜94点の中身は「決められたルールに沿って数字を処理する仕事」です。
たとえば、日々の記帳や仕訳。試算表や決算書の下書き作成。申告書のフォーマットへの数字の当てはめ。監査であれば、証憑と帳簿を突き合わせる調書のとりまとめ。どれも「ルールに沿って情報を正確に処理する」という点で共通していて、会計ソフトやAIがすでに得意とし始めている領域です。
実際、freeeやマネーフォワードのようなクラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードの明細を読み込んで仕訳を自動生成する機能をすでに持っています。ここにAIが加わることで、判定の精度はさらに上がっていくはずです。
監査の現場でも同じ流れがあります。膨大な取引データの中から異常値を見つけ出すサンプリング作業や、契約書と帳簿を突き合わせる確認作業は、人が1件ずつ目視で追うより、AIに一次スクリーニングをさせるほうが速く正確です。浮いた時間を、本当に確認が必要な部分の深掘りに回せるようになります。
正直に言うと、僕自身も日商簿記2級とビジネス会計検定2級を持っていて、決算書を読んだり仕訳のルールを理解したりする基礎知識はあります。ただ、資格を持っていることと、実際に税務や監査の現場で判断して責任を負うこととの間には、大きな差があると感じています。ルールを知っていることと、そのルールを使って人に責任ある説明をすることは、まったく別のスキルです。
判断・責任96/97点が示す、最後まで人に残る仕事
結論から言うと、判断・責任96〜97点の高さは、税務判断や監査意見の表明という「責任を負う」行為が、税理士・公認会計士という仕事の中心にある、という意味です。
節税スキームが法律上妥当かどうかの最終判断。税務調査で疑問を持たれた処理について、根拠を示して説明する場面。監査であれば、決算書が「適正」「限定付き適正」「不適正」のどれにあたるかを表明する監査意見。どれもAIが選択肢や根拠条文を並べることはできても、最終的にその判断に自分の資格と名前で責任を持つのは人です。
この96〜97点という数字は、449職業の中でもトップクラスです。ここが税理士・公認会計士という仕事の一番の核であり、資格制度がそもそも「責任を引き受けられる人を認定する」ためにある、という原点にもつながっています。だからこそ資格試験は難しく設計されていて、簡単には取得できないようになっているのだと思います。
逆に言えば、情報・数理にあたる作業をどれだけAIに任せられるようになっても、この判断・責任の部分を引き受けられなければ、税理士・公認会計士としての価値は成立しません。渡す部分と、最後まで自分で持つ部分を、はっきり分けて考える必要があります。
たとえば、AIが「この経費は損金算入できる可能性が高い」という分析を出してきたとします。ここで終わってしまう人と、その根拠となる条文や過去の裁決事例まで確認し、依頼者に「これでいく理由」を説明できる人とでは、まったく別の仕事をしていることになります。AIの分析はあくまで材料で、それを引き受けて自分の言葉にする作業が残ります。
対人・交渉45と76の差。税理士と公認会計士の違い
結論から言うと、対人・交渉が税理士45点・公認会計士76点と大きく差がある理由は、日々の仕事の中で人と向き合う量と質が違うからです。
税理士の仕事は、顧問先である中小企業や個人事業主との継続的なやり取りが中心です。関係性ができている相手との対応が多いため、対人・交渉の比重は中程度に出ています。
一方、公認会計士の監査という仕事は、監査先の経理担当者や経営者に事実確認をしたり、見解の違いをすり合わせたりする場面が繰り返し発生します。時には相手にとって都合の悪い指摘をしなければならないこともあり、この折衝の多さが対人・交渉76点という高さに表れています。
同じ「数字の専門家」というくくりでも、日々向き合う対人の質と量がここまで違うのは、データを見るまで意外でした。士業をひとくくりにせず、それぞれの仕事の中身を見ることの大切さがよくわかります。
この差は、キャリアを考えるうえでもヒントになります。対人・交渉に苦手意識がある人は税理士としての独立開業や顧問業務に、人と向き合って事実を突き詰める作業にやりがいを感じる人は監査法人でのキャリアに、それぞれ向いている可能性があります。数字が同じくらい得意でも、どちらの働き方が合うかは対人・交渉の比重で変わってくるはずです。
これから伸ばすべきこと
結論から言うと、伸ばすべきは判断の言語化、AIを使う側に回ること、対人・交渉力を磨くことの3つです。
正直に言うと、副業の確定申告で節税を考えるとき、僕が意識しているのは「経費の計上」「所得区分の判定」「控除の活用」の3つです。ルールそのものはAIに聞けばすぐに出てきます。ただ、自分の状況にどう当てはめて、最終的に申告書に自分の名前を書くかを決めるのは自分です。税理士・公認会計士の仕事も、構造としては同じだと思います。
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特に、AIの導入が進む会計事務所と、まだ紙とExcel中心の会計事務所とでは、この先数年の働き方の差がかなり大きくなると考えられます。今の職場がどちらの方向に進んでいるかを客観的に知る意味でも、一度外の求人状況を見てみる価値はあると思います。
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よくある質問(FAQ)
Q. 税理士・公認会計士の仕事はAIでなくなりますか?
A. 449職業の中でAI代替度は税理士32位・公認会計士39位と上位ですが、なくなるとは断定できません。情報・数理にあたる記帳や申告書の下書きはAIに渡しやすい一方、判断・責任にあたる税務判断や監査意見の表明は残ります。仕事の中身が変わる、というのが正確な言い方だと思います。
Q. AI代替度が90を超えているのは危険信号ですか?
A. 449職業の中で32位・39位ですから、上位1割以内には入ります。ただしこれは順位であって「90%の確率でなくなる」という意味ではありません。同じ上位でも中身の内訳次第で、渡せる部分と残る部分はまったく違います。
Q. 税理士・公認会計士の仕事でAIに任せていい部分はどこですか?
A. 記帳・仕訳・試算表や申告書の下書き作成など、情報・数理にあたる作業はAIに任せやすい部分です。税務判断や監査意見の表明といった、責任を伴う最終判断は人が持っておくべき役割です。
Q. なぜ公認会計士の方が対人・交渉のスコアが高いのですか?
A. 監査という仕事の性質上、監査先の経理担当者や経営者と事実確認や見解のすり合わせを繰り返す場面が多いためです。税理士は顧問先との継続的な関係が中心で、比重がやや異なります。
Q. 税理士・公認会計士からの転職でAIスキルは有利になりますか?
A. AIを使う側に回った実績を言葉にできれば、判断・責任の証明として強みになります。士業特化の転職エージェントの無料面談で、今の市場価値を聞いてみる方法があります。
Q. この449職業ランキングの数字はどのくらい信用できますか?
A. 元データは厚生労働省の職業情報データベース(job tag)で、出典が公的な点は信頼できます。ただし1職業あたり約20〜69人の自己申告調査であり、精密な客観測定ではありません。だからこそ本記事も確率は出さず、449職業内での相対的な順位だけを示しています。数字を鵜呑みにせず、内訳まで見て判断することをおすすめします。
まとめ:数字を扱う力より、決めて背負う力が最後まで残る
税理士は449職業中32位、公認会計士は39位。どちらもAI代替度90を超える上位です。ただし内訳を見ると、情報・数理にあたる記帳や申告書作成はAIに渡せる一方、判断・責任にあたる税務判断や監査意見の表明ははっきり残ります。伸ばすべきは、この判断を引き受ける力です。
3回シリーズを通して見えてきたのは、AI代替度の順位だけでは何もわからない、ということです。同じ上位でも、Webデザイナーは対人が弱み、薬剤師は対人がもともと強み、税理士・公認会計士は判断・責任が突出する、とまったく違う形をしていました。数字を怖がるのではなく、自分の仕事の内訳を分解してみることが、一番の対策だと思います。
まずは自分の職業の順位をAI仕事診断で確認して、それから無料面談で市場価値を確かめてみてください。よいしょっと、次の一歩を踏み出してみてください。
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